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◆報連相を習慣づけるたった一つのやり方 (後編) / なぜ挨拶は必要か(第155話) [人材育成]

春の便り 白魚の踊り食い.jpg
◆春の味覚 白魚の踊り食い
 人は、他の生き物の命を戴きながら生きています。
 そして、我々も寿命が尽きれば朽ちて土にかえります。
 それぞれが、地球の中で生かされているのです。 
 人間として生まれてきた縁を十分に味わい、次のステージに参りましょう。



こんにちは~!(^^)!

新入社員研修のカリキュラム。

その代表的な項目の「報連相」。

 報 報告

 連 連絡

 相 相談

しかし、なぜ、それら(報告、連絡、相談)をすべきか?という疑問自体を持つ人は多いと思います。

つまり・・・
 ホウレンソウが大切だ、と多くの人は考えていると思います。

反面・・・
 しかし、なかなか職場に定着しない、のではないでしょうか。


それはなぜか?

それは…
そもそも、報告、連絡、相談は、対応の行動だからです。

対応とは…?
何かが先にあって、報告、連絡、相談は行われる、ということです。


部下が上司に報告するには何が必要でしょうか?

部下が上司に連絡するには何が必要でしょうか?

部下が上司に相談するには何が必要でしょうか?


部下に報告させるには? 命令や指示が必要です。

部下に連絡させるには? 連絡すべき状況の解説・説明が必要です。

部下に相談させるには? 相談出来るような環境の整備、つまり援助的姿勢が必要です。


つまり、次のようなコミュニケーションが成り立って、初めて「報連相」は機能します。

上司 ⇔ 部下

命令 ⇔ 報告

解説 ⇔ 連絡

援助 ⇔ 相談


この図式は『ホウ・レン・ソウ』&『メイ・カイ・エン』として徐々に浸透してきました。

単純に言えば…
上司は部下に対して、的確な命令、的確な解説、的確な援助をする。

それが出来ないなら…
部下からの報告や連絡や相談を期待し、要求することはおかしいのです。

元キヤノンの高久龍雄先生の説です。
私も講義を受けたことがあります。
ご自身の体験と相まって、腑に落ちた考えで、今回紹介させていただきました。


さて、命令、解説、援助。
みなさんの上司の方はいかがですか?
また、あなたご自身はいかがでしょうか?

例えば、報告。
その具体的なものとして報告書。
しかし、報告書の提出の仕方について、明確に命令・指示しているでしょうか?

「俺の欲しいのは、こんな情報じゃない!」
と突き返すのは、
「俺は、自分の部下を使って、欲しい情報を手に入れる能力が無い」
と同意です。

組織では、階層が上がるに従い、次の原則があります。

『人(部下)の力を使って、自分(組織)の目的を達成する』

つまり、部下を掌握し続け、成果を出し続けるためには…
持続的に的確な命令、解説、援助を必要とします。

余談ですが、『いつまでもプレイングマネジャー』は、本来ありえない存在なのです。

「この仕事は俺しかできない…」 
そんな仕事って…、ありえません。


メイ・カイ・エンの中で、まずは、メイ(命令・指示)。

効果的なのは、的確な指示・命令で、部下を鬱状態に陥らせる心配が無くなります。

これは、アドラー心理学を学んだ方なら容易に理解できる考えではないでしょうか。
アドラーは、フロイトやユングと同時期の優れた心理学者の一人です。
その理論の特徴は、「人の行動には目的がある(目的論)」です。

例えば、引きこもり。
“普通”は…
「この子は何か原因があって、引きこもっている。さて?」
と考えますよね。

しかし、アドラー派のカウンセラーは…
「この子は、引きこもることで、何か利益を得ている。その目的は?」
と考えます。

そのカウンセリング・スタイルは、未来思考です。
「なぜ?」と原因、つまり過去にさかのぼる…
それとは逆の考え方を用います。
「どうすれば、なにを…」を追求します。

特徴の二つ目として、『指示的カウンセリング』が挙げられます。
これは、カール・ロジャーズ氏の提唱した「非指示的カウンセリング」とは対照的です。

乱暴な言い方をすれば、相談者に質問し、提案するスタイルです。
ここで、コーチングを学んだ方には御馴染みの…
「開かれた質問」「閉じられた質問」「宣言」などを効果的に活用します。
ちなみに、アドラー心理学については、岩井俊憲先生を私は第一人者として推薦します。

私は、会社で鬱病が出る原因のひとつは、
『自分の役割や仕事の認識の不明確さ』
にあると考えています。

「私の仕事は何なのだろう?」
「私の仕事は何の役に立つのだろう?」
「私のポジション(例えば、主任)って、何をすればいいんだろう?」
「私の権限で出来るのはどの範囲なのだろう?」
などなど…

つまり、立ち位置がグラグラしているために、
冷静に考えることも難しいし、
感情も揺れ動いているし、
行動がおぼつかない…
それらの積み重なりが、鬱状態に追い込んでいくのではないかと考えています。

人は、それぞれの目的を有して、毎日会社へ来ています。
しかし、それは会社の目的とは必ずしも一致しないかもしれません。

それを頭ごなしで押さえつけ、動きを封じ込める…
のではなく、
建設的なコミュニケーションで以て、“腹を割って”、説得する。

時に、部下には次の言葉の重要性を説く必要があります。
『伝えなければ、伝わらない』(大谷由里子先生)
吉本のマネジャーを経て、元気づけの講演で人気の大谷由里子講師の言葉です。
部下に、自分の意見を主張する重要さを説いてください。

そして、明確な指示で以て、部下の最大能力を発揮させ、成果へ結びつける。
大切なのは、説得です。
納得ではありません。
会社では往々にして、“納得”出来ない仕事があります。
上司は、解説(カイ)し、得を説く。
つまり、説得するのも仕事も一つです。

そのためにも、質問スキルは大切なのです。
そして、部下を診て、適当な援助をし続けるのです。

コーチングのスキルとして、聴き上手が挙げられます。
「聴く、聞く、訊く…その違いは何でしょう?」
なんて、講師はよく質問しますよね。

その前に、眼前の部下をまずは見るのが先です。
部下は今、どんな状況なのでしょうか?
まずは、パッと、見る。
大局から俯瞰的に観る。
そして、質問して診る。

お医者様も、診ますよね。
「どんな具合ですかぁ? どこが痛いですかぁ?」

上司は、部下を診る力も養う必要があります。
よく診て、よく聴く。時には訊く。それが援助(エン)です。

それらをこまめに部下にやればよいのです。
出来ませんか?
その理由は何でしょうか?

命令し、解説し、援助する。
その積み重ねで、初めて上司は、期待する報告、連絡、相談を部下から受けるのです。

ではまた~(^.^)/~~~


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えがみ

ホウレンソウは単純に情報共有の為だと思っていました。
例えばAさんの仕事が難航中であっても、情報共有で皆が知っているので、Bさんがアドバイスを行うことも出来る。
或いはCさんが急病で会議に出られなくても、状況を直ぐに把握し、Dさんが応対出来る。

それでもうまくいかないのは、情報共有の不十分さや資料の整理方法だと思っていました。
でもそれは机上の理論であって、実際には職場なんですね。
部下の目的を理解し、納得出来る職場作りを目指す。

う~ん、今回の記事はとても勉強になりました。

by えがみ (2011-04-17 22:33) 

グッドバランス

>えがみ様
 いつもありがとうございます。

 お役に立てて何よりです。

 報連相。
 毎度、研修カリキュラムに挙げられる。
 でも、結果的には定着しない。
 それを、人事部も、現場も、講師も、不思議と思わないことが、私には不思議です(笑)
 まさか、「今年の新人が悪い・・・」とは・・・大いなる勘違いです。

 すべての原因は、先に生きてきた人(モノ、コト)にあります。
 新人や目下を責めるのは愚の骨頂です。
 実際、離職の原因の多くは、仕事の内容よりも人間関係です。
 
by グッドバランス (2011-04-17 23:41) 

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