SSブログ

◆走れ 金時! MOD RODの冒険(第6回) イージーなライダー [ミニカー]




◆走れ 金時! MOD RODの冒険 
 
 第6回 

 “イージーなライダー”



前回までのあらすじ・・・


Gruesome Twosome(GT)と
Volks Dragon(VD)と共に、
レズニ-王国の誇りと繁栄を
取り戻すことを
目的に旅に出た金時。


奇想天外なクルマたちとの
出会いと別れを経て、
さらに旅は続きます。


途中、
古い種族の生き残りから、
レズニ-王国のSuperFast計画を
知らされました。


それは、
台頭してきた鉄輪王国などに
対抗するため、
ミニカーのデザインを無視し、
単に“速さ”“かっこよさ”を
求めるだけの改造計画でした。


軸がぶれたのです。


その犠牲者(車)が
数少なくないことも
知りました。


再び旅路へつく
3台です。

IMG_1431.JPG



背後に
クルマの影が
見えてきました。

IMG_1433.JPG


だんだん
近づいてきます。


“おい、すごいスピードだぜ”とGT。


“何者だろう?”と金時。

IMG_1435.JPG


そして、
追い抜いていきました。

IMG_1436.JPG


“ヒャッホー!”

“あばよ~”


“何だ? あれは”
 と金時が聞きました。


“あれはですね、
 あれも奇想天外車のひとつ、
 スリングショットドラッグスターです”
 とVDが応えました。


IMG_1440.JPG

matchbox №64 Slingshot Dragster



“奴ら、何にも考えてないのかな?”とGT。


“何も考えていないほうが
 幸せかもしれない”とVD。


“・・・”と無言の金時。


“そうだ。
 
 旅に出ようなんて
 ことを考えなければ、
 
 俺は村にいて
 普通に暮らしていた。
 
 何で俺は村を出て
 旅に出たんだろう”
 
 と金時はひとりごちました。


そんな金時の思いに
応えるように
GTが言いました。


“人生はどんな疑問を
 持つかで決まるぜ”


“?” 

金時は意味が
わかりませんでした。


“なぜ、
 どうして、
 なにが、
 どこへ、
 いつ、
 だれが、
 などなど、
 いろんな疑問を持ち、
 解決することで
 我々は文化や文明を
 築いてきた。

 疑問を持つというのは
 苦しいことばかりではない。

 いわんや、
 疑問に対し
 「考えない」ことは
 危険だと思う。

 考えることを放棄すれば、
 待っているのは動物と同じ。

 本能にだけ従って
 生きることしかない。

 そこには、
 夢や愛や美なども無い。

 単に食って、寝て、

 それらの欲望を
 こなしていく
 という思考しかない。

 ただ遺伝子に
 組み込まれた
 プログラムによってな。

 動物は、
 あぁ、
 今日は天気がいいから
 散歩しようなどと思うか? 

 このごはんを残しておいて、
 明日食べようなどと思うか?

 因果関係を追及するのも、
 我々の宿命だ。

 確かに
 何の疑問も
 持たずに生きることは
 一見、
 幸せに見えるかもしれない。

 しかし、
 我々はそうではない存在として
 生まれてきているんだ。

 人生は選択の連続だ。

 俺たちが走っているのも、
 走ろう!
 という意識があるから走っている。

 目先の欲望だけに
 囚われる生活を続けて、
 
 いざ大波がやってきた時に、
 手も足も出ず飲み込まれてしまうのか、
 
 できる限りの予測をして、
 工作をして、
 生き延びることに務めるのか、

 お前はどちらが幸せだと思う?”


“難しいな・・・”


“難しいと思えば、
 難しくなるよ・・・”

VDはその間、無言でした。




しばらくすると
後ろからまた
別のクルマの姿が
現れました。

IMG_1441.JPG


“なんだ?”と金時。


“クルマじゃないぞ?”とGT。


“新手の奇想天外車かもしれん”とVD。


だんだん
近づいてきました。

IMG_1442.JPG


“オートバイだ”


“クルマもいるぞ”


そして、
取り囲みました。


“ヘイ! 
お前達どこまでいくんだ?”

 とオートバイが
 聴きました。


“俺たちは
 このレズニー王国の
 繁栄と誇りを取り戻す旅を
 しているんだ”


“誇りと繁栄?”


“何だそりゃ? 
 
 ハッハッハッ! 
 
 笑わせるぜ”


IMG_1444.JPG

Matchbox №38 The Stingeroo Chopper



IMG_1445.JPG

Matchbox №49 Chop Suey Chopper



IMG_1446.JPG

Matchbox №71 Jumbo Jet Chopper



緑色のクルマが
VDに声をかけました。


“へい、兄貴、
 村へ帰ったらどうだい?”

IMG_1447.JPG


“お、お前は、
 ドラゴンホイール!”


IMG_1448.JPG

Matchbox №43 Dragon Wheels


“村へ帰るのが嫌なら、
 俺たちとつるもうぜ”


“バカを言え。
 そんな暇つぶしができるか!”


“ケッ、暇つぶしか。
 相変わらず真面目なこった”


“事実だけを見ろ。

 お前達のような
 チョッパーが登場した
 イージーライダーが
 上映されて40年にもなる。

 あの映画については
 いろんな解釈はあるだろうが、
 その時点でのアメリカの
 価値観や問題点を紹介している。

 そして時は流れ、
 最近ではマイノリティから
 大統領が登場した。

 歴史は変えようと思った者が
 変えることができるんだ”



“そんな後付けの考え方は
 俺には通用しないぜ”



“しかし、事実はそうだ。
 
 そして、
 我々は未来を考える時、
 過去の事実からしか
 学ぶことは出来ないんだ。”



“ただ、
 俺たちは
 どうしようもないじゃんか”



“どうしようもない、って
 自分で自分をカゴに入れたら
 それ以上動けないぞ”



“ち、理屈ばっかり言いやがって。
 
 言葉遊びはうんざりだぜ。
 
 おい、行こうぜ”


IMG_1450.JPG

Matchbox №70 Dodge Dragster


彼らは
どこかへ
去っていきました。


IMG_1451.JPG


しばらくすると、
大きな爆発音が
聞こえました。


“なんだ?”


道を進むと
無残な残骸が
ありました・・・

IMG_1452.JPG


“事故ったんだな・・・”


“最後の瞬間、
 何を見たんだろうか・・・”


“さぁ、行こう”


3台の旅は続くのです


(続く)



◆ 今日の一冊 ◆

つげ義春全集

時折、
無性に読みたくなるのが、
つげ氏の作品です。

創作物、自叙伝的なもの、
魅力的な作品が多く、
余計な解釈は無しに、
氏の作品の中へ
飛び込んでいきたい
情動に駆られます。

氏の旅は苦しい旅です。

氏の旅は哀しい旅です。

ニヒリズムでも無く、
反社会的でもありません。

生きることの苦しさを
漫画という表現で
昇華しています。

しかし、
何があっても、
生きるのです。

つげ義春全集 (1)

つげ義春全集 (1)

  • 作者: つげ 義春
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1993/10
  • メディア: 単行本



nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 2

ねこざかな

奇想天外チョッパー、そのうちネタにしようと思って、はや数年(汗)
グッドバランスさまがまとめてくださったので、猫は農機&建機でもやろうかな。
チョッパーもいつかネタにするかもしれませんが、その節は御容赦を~。
by ねこざかな (2009-10-17 02:52) 

グッドバランス

コメントありがとうございます!

いかに極モノにも光を当てていくかを考えるのが、
このシリーズの脚本制作での悩みであり、
楽しみでもあります。

一台一台、かわいいです。

農機については、貴ブログでも
充実されたページがありましたよね。

建機のネタは事欠きませんね~
by グッドバランス (2009-10-17 07:38) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。