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◆私の愛するカメラ(第15話) メーカー死すとも、ブランドは死せず [カメラ 写真]




「あなたの会社、
 20年後には
 無くなっていますよ」


こういう台詞を聞いて、
社員であるあなたは
どう思いますか?


しかも、
不景気ながらも、
自社の成績が
良かったとします。


ボーナスも
ちゃんと出ました。


「バカじゃねぇの?」


「ふざけたこと言うな!」


「だから、お前は・・・」

なんて言われて、
胸倉をつかまれる
かもしれませんね。



1985年当時に、
ミノルタやコニカの
社員の方に申しあげたら
どうでしょうか。


「あなたの会社のカメラ、
 20年後には
 市場に無いですよ」


本格的オートフォーカス一眼レフ
“ミノルタα7000”


その登場は“αショック”
と呼ばれ社会現象となりました。


それは、
ニコンやキヤノンに
本腰を入れさせた
きっかけでもありました。


突出し、
目立つことで、
敵を目覚めさせたのです。



現在、
コニカやミノルタの
名を冠したカメラは
市場にありません。


これが“事実”です。


かつては
ミノルタもコニカも
日本の写真界を牽引する
一翼を担っていました。


企業の興亡を眺めると、
まさに中国古典の箴言の
通りであることに、
驚くしかありません。


調子の良い時ほど、注意せよ。


なぜ、
人は同じ過ちを
繰り返すのであろうか・・・



“αショック”から
“カメラ事業撤退”までの20年間、
ミノルタやコニカでは
どのようなマネジメントが
行われていたのでしょうか。


大変興味があります。


さて、
今回取り上げるカメラは・・・


IMG_2748.JPG


ローライフレックス6002


1986年の発売です。


当時、日本では、
ミノルタαショックの真っ最中。


シャッター速度優先
AE一眼レフ。


こんなのんびりした
機能のカメラが
“新発売”になったのです。


IMG_2747.JPG


ローライも現在、
倒産しています。


これで3回目
くらいでしょうか。


倒産“している”
という言い方・・・

ヨーロッパでは
不思議な現象が
起こります。


IMG_2751.JPG


ブランドは
残るのです。


どこかの会社が、
それを買い取ったり、
レンタルして、
カメラ製造を
継続するのです。


ツァイスも
そうですね。


戦後、
カメラ事業から撤退して後、
ヤシカと事業提携し、
それは京セラに引き継がれました。


そして、
商売にならなくなった時点で、
京セラは“コンタックス”ブランドを
手放しました。


その後、
コシナが譲り受けるに至りますが、
それにはツァイスのブランド名が
誇らしげに刻印されます。


コシナはまた、
フォクトレンダーを買い取って、
新規路線を走っているのは
ご既知のとおりです。


それほど、
フォクトレンダーという
ブランド名は
魅力的だったのでしょう。


私も数本のレンズや
アクセサリーを愛用しています。


IMG_2749.JPG


今、ミノルタの遺産である
“α”は、
ソニーが引き継いでいます。


果たして、
ユーザーの反応はどうでしょうか。


IMG_2753.JPG


コシナにお願いしたいです。


コニカやミノルタの
ブランド名を買い取って、
新製品を開発、製造、販売
してくれないものでしょうか。


例えば、
日本のメーカーは
自動車を初めとして、
ロゴマークを頻繁に変えます。


製品名自体も、それぞれの
関連性や整合性が不明確です。


“ブランド”の価値や重みが
深く理解されていないんだろうなぁと、
つくづく思います。


IMG_2750.JPG


日本では、ブランドは、
雰囲気的、情緒的な“絵”
でしかないのでしょうか。


本来、
ブランドは、
絶対的な信頼を示す
“記号”です。


思いつくところでは、
アメリカの写真メーカー
“コダック”は、
世界のどの言語で読んでも
コダックと発音されることで
決定されたそうです。


それほど考えて
名付けられるものです。


コカコーラは、
そのロゴ自体が、
コレクターズアイテム
となるほどです。


IMG_2754.JPG


西洋が、
言葉自体に意味を込め、
それが、
法律や契約に著され
社会成立の基盤と
なっているのに対し、

日本では、
言葉の背後にある
意味を重視します。


“行間を読む”
“言葉の裏を読む”
というのは
非常に情緒的な概念です。


“規格”
という概念も
西洋的ですね。


近年では、
ISO9000や
14000などの
“規格”が
有名になりました。


日本でも
JIS規格がありますが、
実際には、
より厳しい独自規格を
設けています。


企業独自ですから、
それは社会的には
汎用性が低いわけです。


ところで、
フィルム感度を示すISOも、
同じ系列ですよ。


アメリカでは
ASAですね。


IMG_2758.JPG


ローライも、
そのうちまた
復活するでしょう。


AFの二眼レフ
などでしょうか。


ではまた~


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えがみ

一説によると、ミノルタの予想以上にデジタルの普及が速く、乗り遅れたということです。
一眼レフSR2も結構後発でしたね。
二度目は無かったということでしょうか。

しかしF&HのリソースをSinarが引き継いだように完全消滅したならまだしも、今なおKonicaMinoltaはTopconやKowa、Kyocera同様に光学機器メーカーとして会社が存続しているのでちょっと複雑な心境です。
by えがみ (2009-12-14 09:04) 

グッドバランス

>えがみさま

今回は、貴殿の記事も参考にさせていただきました。
この場をお借りしてお礼申し上げます。

さて・・・

>一説によると、ミノルタの予想以上にデジタルの普及が
>速く、乗り遅れたということです。

小生も同感です。

小生の関心は“予想が外れた原因は何だったのか”
ということです。

最近では日本一の自動車メーカーも
大赤字転落となりました。

その責任は誰にあるのでしょうか。

その役職にある人間の責任は大きいでしょう。

そのための高給です。

私腹を肥やすことよりも、
役職を全うするための給金のはずですね。

給料は役職に応じた報酬です。

会社のトップや幹部層の方々は、
会社の舵取りのために、より広く深く人間関係を築き、
情報収集力や判断力を磨いてほしいものです。

ネット社会以前では、
情報優位性は社会的地位と正比例していました。

上司は情報を操作することで、
部下を管理していました。

現在は、上司も部下も同時に世界の情報を
キャッチできる世の中です。


>しかしF&HのリソースをSinarが引き継いだように
>完全消滅したならまだしも、今なおKonicaMinoltaは
>TopconやKowa、Kyocera同様に光学機器メーカー
>として会社が存続しているのでちょっと複雑な心境です。

まさに同感です。

ただ、京セラは元々光学メーカーではありません。

儲かるところに飛びついたのが実際だと思います。

ですので、高級ツァイスブランドが売れないので
「もう、やめた」は理解できます。

ファンとしては許せないところですが。

問題は、もともと光学メーカーとして出発した
コニカやミノルタです。

カメラを作らなくなった光学メーカー。

船を造らなくなった造船会社。

そして、今後出るかもしれない、
クルマを作らなくなった自動車会社。

そんな会社では“プライド”や“やり甲斐”を
どうやって維持するのでしょうか。




by グッドバランス (2009-12-14 20:04) 

えがみ

> ただ、京セラは元々光学メーカーではありません。

そうでした。失念しておりました。
しかし利益の為とはいえYashicaの事業を切り盛りしていったことは評価しております。
肝心のYashicaはよく分からないメーカーに引き取られたようですが…。

企業がどの事業をやるかは難しい問題ですね。
某車メーカーはロボットの研究に熱心なようです。
つまり有事に備えておくということなのでしょう。

by えがみ (2009-12-15 00:27) 

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